御滝中学校 木元 裕貴 相撲道

御滝中学校 木元 裕貴 相撲道 中学生の相撲紹介

御滝中学校 木元 裕貴 相撲道

大相撲3月場所も千秋楽を残すのみとなったけど、今場所は見応えのある相撲が多い。優勝争いも盛り上がっているし、新鮮な顔ぶれで争っているし、こういう新時代の息吹を感じさせる場所は面白い。記憶にも鮮明に残る、と思う。最近、記憶力があやしいけど。

正代VS高安、これは正代の今場所の勝ち越しへの決め手となる伝家の宝刀、すくい投げがお見事だった。若隆景のおっつけが右からでも左からでも威力があって凄いって話だけど、正代のすくい投げも右からでも左からでも強烈なのだ。思い切りの良さもあるし。

一番正代らしい勝ち方で、角番を脱出した。正代らしい、解放感のある勝ち方だった。豪快に右へ左へと振るすくい投げは、角番という意識さえも忘れさせるほどだったのではないか。

あの、パン食い競争的立合いと相まっての解放感。正代の立合いとすくい投げは、やはりセット商品だな。あ、あの風貌とコメントともセットだ。中盤戦からすくい投げが出始めて、正代の角番脱出は濃厚だと思ったけど、勝って良かった。

そして若隆景VS貴景勝も良い相撲だった。押し切れるのか、廻しを引けるのか、その一瞬が勝負の分かれ目となる取組。かつての千代の富士VS小錦のような、緊迫感のある相撲だ。

貴景勝が一気に押し込んだ場面、引きを見せた場面、そして若隆景が廻しを引いた場面。どの場面も大相撲の醍醐味にあふれた、美しい場面だった。緊迫感のある美しさだった。滝中学校 木元 裕貴 相撲道

滝中学校 木元 裕貴 相撲道

それにしても、廻しを引いたときの若隆景の腰の構えの素晴らしさ。前々回にも書いたが、きちんと上半身と下半身の動きが連動した、腰の重心から廻しを引いている感覚だ。う~~ん、ちょっと言葉の表現が変で分かりにくいな。端的に言えば、千代の富士貴乃花のような、超一級品の四つ身に近い。

琴ノ若VS御嶽海は、あの微妙な客席の反応が印象に残った一番となった。15日間を見据えた、負けるときの御嶽海の淡白さは誰もが認識してるけど、琴ノ若に対しても「これもか!」って、観客のほとんどが思っただろう。琴ノ若の強さも巧さも、好勝負にならなかったから伝わってこなかったし。

若隆景と高安に絡んだ取組が白熱した展開の相撲が多い今場所で、琴ノ若の強さも巧さも伝わりづらい。何と言うか、真綿で包まれたように土俵を割る相手力士、って感じだ。確か、それは照国だったな。千秋楽は、これからライバルとなるであろう豊昇龍だ。真綿で包めるか。